有責配偶者からの離婚請求も認められる
夫婦関係を破綻に追い込んだ責任を有する配偶者の事を法律用語で有責配偶者といいます。分かりやすく説明すると、浮気をした方の配偶者、暴力を振るった方の配偶者のように離婚原因を作った側のことです。
これまでは裁判所は有責配偶者からの離婚請求を認めていませんでした。浮気した側が浮気相手と再婚をするために相手に離婚を申し入れたとしても、協議離婚や調停離婚が成立しなかったのであれば、例え離婚裁判を起こしたとしても理不尽だという理由で認められませんでした。
ところが近年では離婚を認めたほうがお互いの将来のためになると考えられる場合は、有責配偶者からの離婚請求だったとしても受け入れる流れも出てきています。
有責主義と破綻主義
離婚原因を作った人が明らかな場合は責任のない側からの離婚請求しか認めないといった考えを有責主義といいます。これまで裁判所は有責主義の考えを基本に進められてきました。
しかし、現実的に考えると有責配偶者からの離婚請求を認めないとしても破綻した夫婦関係を修復できないのであれば根本的な解決にはならないという問題が残ります。そのため下手に夫婦生活を長引かせて争いを増やすよりは離婚を認めようという破綻主義の立場をとるようになりました。
このように現実的な問題解決を重視して柔軟な判断が必要だという傾向が強くなってきていますが、だからといって有責配偶者の身勝手な要求が簡単に通るというわけではありません。一定の条件を満たした上で裁判官が状況を把握して判決を下します。
有責配偶者の離婚請求が認められる条件
有責配偶者からの離婚請求が認められるには少なくとも次の3つの条件を満たしている必要があります。また裁判官への心象も意外と重要だったりします。
長期の別居期間
別居期間が長期に及んでいて、既に婚姻関係が破綻していること。ただし明確な基準があるわけではありません。6年の別居機関で認容されたケースもあります。
有責配偶者が相手の事を考え、誠意を持って取り組んでいるかどうかで判決は左右されます。もちろん有責配偶者が身勝手な態度のままでは認められません。
未成熟の子供がいない
夫婦間に未成熟の子供がいないこと。満20歳未満の子供を指していますが、子供が経済的に自立して生計を立てている場合は許容されます。例えば中学校を卒業してすぐに仕事に就いて一人暮らしをしているなら未成年でも問題ありません。
離婚後の相手の生活が保障されている
離婚により相手が精神的、経済的に困難な状況に陥らないこと。仕事を持ち経済的に自立している事が望まれます。苛酷な状況に陥る可能性が高いと判断される場合は認められません。