審判離婚とは
調停離婚において離婚したほうが双方に利益になる事が明確にも拘わらず夫婦間での合意が得られない場合、家庭裁判所の判断で調停にかわる審判を下す事があります。親権者や財産分与、慰謝料の金額を命じる事もできます。
しかし審判離婚は離婚総数の1%にも満たない非常に稀なケースです。離婚条件においてわずかな意見の違いで合意を得られないとき、どちらかが作為的に調停を引き延ばしているとされたとき、病気などの理由で調停に出席できないときに審判が下される事もあるという程度で、調停離婚が成立しない場合に必ず審判が下されるというわけではありません。さらに夫婦のどちらかが異議申し立てをすれば審判の効力は失われ裁判離婚へと縺れ込むので、実際に審判離婚で決着がつくことはほとんどありません。
審判離婚の流れ
- 調停離婚が不成立
- 審判が下される
- 審判離婚成立
- 離婚届を提出
調停離婚が不成立
調停委員を交えて話し合い進めたがお互いの合意を得られなかった場合に調停離婚は不成立となります。そのとき本来なら離婚したほうが夫婦のどちらにもとっても得策になると認められると裁判所の判断で審判が下されます。
審判が下される
調停離婚不成立となった場合に必ず審判が下されるというわけではありません。審判離婚は極めて事例が少ないケースで、以下のような場合に審判離婚が妥当だと考えられ執行されます。
- 僅かな意見の不一致により一方が離婚に応じない
- 一方が病気などの理由、あるいは気変わりで調停に出席しない
- 親権の問題など、離婚の成立が急がれるとき
- 夫婦のどちらかが審判離婚を求めたとき
- 外国籍の相手が帰国してしまったとき
審判告知後から2週間以内に夫婦のどちらかが異議申し立てを行うと審判は失効されます。
審判離婚成立
審判が下されて2週間の異議申し立て期間を過ぎると確定し、審判離婚成立となります。審判が確定すると裁判による確定判決と同様の効力を持つため、合意の有無に関係なく離婚が命じられ、その後の不服申し立てや取り下げを行う事はできません。審判の内容に納得できないようであれば2週間以内に異議申し立てを行うしかありません。
離婚届を提出
審判離婚が成立してから10日以内に市区町村役所へ離婚届と共に審判所の謄本と異議申し立てが無かった事を示す確定証明書を提出します。離婚日は離婚届の提出日ではなく審判離婚が成立した日となります。
審判離婚のメリットとデメリット
裁判所から審判が下されるという事は調停において双方が主張に固執し長引いてしまっている状態です。そのため審判離婚が成立する事は極稀で、納得できないほうが異議申し立てを行い裁判離婚に突入してしまうのです。
しかし審判が下される理由には調停の進捗が思わしくないことと同時に、客観的に見て離婚したほうが良いと判断されていることも挙げられます。裁判離婚になるとそれまで以上に時間も費用もかかってしまいます。もし相手側に異議がないのであれば、後々の事を考えてこちら側が譲歩して審判離婚を成立させてしまうのが得策となる場合もあります。
知人や親族、あるいは弁護士などに相談して審判の内容をよく吟味し、どちらの選択がより自分にとって良い結果となるのか十分に考えて決断しましょう。