裁判離婚とは
協議離婚、調停離婚はあくまで双方の合意を得て円満な離婚を目指すものですが、裁判離婚の場合は例え相手がどんなに嫌がったとしても離婚の判決が下りれば強制的に離婚をしなければいけません。
名前の通り裁判なので訴えを起こす方が原告、相手方を被告と呼びます。原則として公開で行われますが、社会生活に著しく支障が出ると裁判所が判断すれば公開を停止できます。本人尋問や証人尋問、証拠提出や立証など法律に定められている通りに裁判は進められるので素人では非常に困難です。もちろん本人だけで進めてもダメという事はありませんが、弁護士に依頼し代理人として裁判に出席してもらうのが普通です。
いきなり裁判を起こす事はできず、まずは調停離婚を行い、調停が不成立で終了した場合に離婚の訴訟が起こせます。これを調停前置主義と言い、特別な理由がない限り原則として認められていません。
裁判離婚の流れ
- 調停離婚が不成立
- 裁判の提訴
- 離婚裁判
- 判決
- 離婚届を提出
調停離婚が不成立
調停を経ても合意に至らなかった場合、調停離婚不成立となります。また裁判所から下された審判に対してどちらかが異議申し立てを行った場合も同様です。
裁判の提訴
夫婦のどちらかの住所地にある家庭裁判所に訴えを起こします。裁判では離婚原因が認定されれば離婚をする、認定されなければ離婚はできない、そのどちらかで曖昧な結果にはなりえません。離婚裁判では離婚の言及と共に財産分与や親権、慰謝料の請求も行えます。
調停前置主義にのっとり訴訟は原則として家庭裁判での調停を行ってからではないと起こすことはできません。しかし以下の場合には調停を行わずに訴えを起こすことができます。
- 被告が生死不明、または行方不明
- 被告が心神喪失の状態
- 家庭裁判所が調停では協議できないと判断した場合
離婚裁判
話し合いによる解決を目指す協議離婚や調停離婚とは大きく異なり、裁判官が離婚原因があると判断すれば、たとえ相手がどんなに嫌がったとしても強制的に離婚をしなければなりません。口頭弁論や証拠調べを行い、離婚原因がどこにあるのかを主張し、立証します。そのため法律の専門知識が必要となり、規則ではありませんが弁護士を代理人に立てて裁判は行われます。
裁判の途中でお互いが納得できる条件を提示して和解を勧めることがあります。双方が和解案を受け入れて離婚に同意した時点で和解調書が作成され裁判が終了します。これを和解離婚といいます。
判決
離婚原因は愛情が薄れたなど曖昧な理由は認められず、第三者にも納得できるようなしっかりとした理由が必要になります。
民法で定められた5つの離婚原因のどれかに当てはまると認定されると判決が下ります。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続しがたい重大な理由があるとき
判決に不服がある場合は、判決が出て2週間以内に高等裁判所に控訴します。
離婚届を提出
判決確定から10日以内に判決確定証明書、判決書の謄本と共に離婚届を市区町村役所の戸籍係に提出します。離婚日は判決確定の日となります。
裁判離婚のメリットとデメリット
離婚判決が下されると法律によって強制的に離婚させられるので、離婚原因さえしっかりとしていれば完全に相手と決別する事ができます。
しかし裁判はテレビドラマや映画であるように裁判官や弁護士、公開であれば多数の傍聴人もいる中で尋問が行われます。離婚裁判はかなりの時間と労力を消費すると共にこういった精神面での疲労も相当なものとなります。離婚原因が浮気など不貞なものであればプライベートな事も曝け出さなければいけません。
やむを得ない事情で裁判を起こすのは仕方がありません。しかし意地の張り合いで協議や調停を長引かせるのは注意したほうが良いでしょう。万が一、相手側に訴えられてしまうと想像以上に手間がかかる結果となってしまいます。