婚姻を継続しがたい重大な事由 – 民法が定める離婚原因

認定理由はさまざま

離婚判決を下す事ができる原因には以下の4つがあります。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

この4つに当てはまらない場合でも、これ以上の婚姻生活が続けられず夫婦として破綻していると認められる場合は婚姻を継続しがたい重大な事由として離婚判決が下ります。破綻の理由として挙げられるのは次のようなものがあります。

  • 暴力や虐待
  • ギャンブルによる多額の借金
  • 舅、姑との不仲
  • 過剰な宗教活動
  • 性交渉の拒否
  • 異常な性癖

両者が寄り添うことで修復が可能だと判断された場合は離婚は認められません。上記に該当したとしても必ず離婚できるわけではなく、あくまでも婚姻生活が継続できないと判断された場合です。

決定的な理由が必要

例えば「姑との不仲」が原因で離婚を主張したとします。なぜ姑との不仲が離婚に繋がるのかを問われます。さらに夫婦が協力して姑との仲を良好にする事はできないか、もしくは姑と離れることはできないか等を提案します。

解決への糸口が見つからないとなれば離婚をせざるを得ませんが理由がひとつだけでは決定的な理由になるのは難しく、いくつかの理由が重なる事でようやく夫婦関係が波乱していると認定されます。

離婚調停時の申し立て理由として一番多いのが「性格の不一致」ですが、単に性格が合わないというだけでは法律上の離婚理由として認められることはほぼ無いといえます。しかし、これに長期に渡る別居期間などの事実が重なると夫婦生活の回復に見込みがないと判断されます。

2008年には改正DV防止法が施行された事によって身体的な暴力だけではなく、精神的あるいは経済的なものに対する暴力もDVとして解釈されるようになりました。拡大解釈された暴力はもちろん婚姻を継続しがたい重大な事由として認められますので、相手が話し合いや調停に応じてくれない場合は裁判を提訴して離婚を強制する事ができます。また身の危険が迫る恐れがあるなら保護命令の申し立てをして配偶者の接近を禁止する事もできます。

離婚原因を証明するための証拠

裁判で婚姻を継続しがたい重大な事由を認めてもらうには証拠を提出し事実として証明しなければいけません。客観的に見て証拠となるものを用意しておく必要があります。

身体的暴力

妻側からの離婚原因として挙げられる代表的なものが夫からの身体的暴力です。一度限りの暴力はDVとして認められる事は少なく、日常生活において習慣的に暴力や虐待を受けている事を証明します。以下が証拠例となります。

  • 怪我の写真
  • 医師の診断書

精神的虐待

改正DV防止法により暴力の定義は精神的、経済的なものも該当するようになりました。そのため言葉による侮辱行為や虐待なども配偶者からの暴力として認められます。以下が証拠例となります。

  • 相手の言葉を録音したテープ
  • 相手の言葉を記録した日記やメモ
  • カウンセリングの診断書や診断記録

多額の借金

ギャンブルや趣味でお金を使いこんだり、多額の借金を背負った場合は離婚の原因として認められます。また故意に生活費を渡さないのであれば悪意の遺棄に該当します。しかし住宅ローンや投資など両者が納得したうえで作った借金は認められません。以下が証拠例となります。

  • 預金通帳
  • 領収書や借用書
  • クレジットカードの利用明細

過剰な宗教活動

宗教活動にのめり込み仕事や家事を放棄して生活に支障が出ている、あるいは生活費を寄付してしまうなど、そのせいで夫婦生活が破綻してしまった場合は離婚原因として認められます。以下が証拠例となります。

  • 宗教に関する高額な物品
  • 物品購入の領収書
  • 寄付金の領収書
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