最後の共同作業
協議離婚では夫婦の話し合いをスムーズに進める事が大きなポイントとなります。相手の考え方が合わないとか、相容れない性格だからこそ離婚を思い立っているわけで、仲良く進めましょうと言われても難しいかと思います。
しかし多少の不満はあれど、これが夫婦としての最後の共同生活なのですから感情的にならず割り切って進めましょう。
相手も自分と同じ考えだろうと思うのは禁物です。離婚の合意以外は全て真逆の考えだくらいに覚悟しておいたほうが良いと思います。親権を渡してほしい ←→ 渡したくない、慰謝料を払ってほしい ←→ 払いたくない、と考えていれば相手の意外な言葉にも落ち着いて対処ができるはずです。
決して一時的な感情で判を押すようなことはやめてください。お互いの感情がぶつかり合って、「離婚さえできれば構わない」と話し合いで決めておかなければいけない事をおざなりにしてしまうケースも多いようですから。
協議を進める上で気をつけること
綿密な計画をたてる
自分と相手の性格や状況をしっかり理解しておくことが大切です。こんな場合に何を言うか、どう考えるか、それによってどんな答えを出すのか。それを踏まえて離婚の切り出しかたや話し合いの進め方を考えます。
いつどんな状況で離婚を切り出すか、話の入口はどうするか、可能な限り綿密に計画をたてます。相手の返答まで含めてストーリー仕立てにしておくのも良いと思います。
これまでの生活を振り返って自分を理解するのと同時に相手を見つめ直してみるのも大事です。それまで見えていなかった事に気づき、離婚を思いとどまる人もいるかもしれません。それはそれで正しい選択になると思います。
スケジュールを作る
計画を立てたら、今度はそれを実行するためのスケジュールを作成します。
例えば、平日は仕事で疲れてまともな話し合いにならないだろうから休日にしようとか、行事やイベントが終わって落ち着いてからにしようなどです。どんなに完璧な計画を練っていても先走ってしまっては上手くいきません。
また、自分が慎重に予定を立てても相手がそれに応じてくれるとは限りません。相手の都合もあるので「いつ」の部分には予備日を設けておきます。予定通りに進まなかったからといって意気消沈せずに再度スケジュールを調整しましょう。
シミュレートする
相手がどんな反応を示すのか、様々なパターンを考えておきます。想像以上に拒否してくるかもしれませんし、もしかしたら同意の姿を見せてくるかもしれません。
冷静な話し合いをするのは大切ですが、場合によってはあえて感情的になったフリをするのも有効です。淡々と話される事で余計に苛立ってしまう人もいるかもしれません。優しく話しかけたり、口調を強めたりと工夫を凝らしましょう。
円満に家族計画を話し合っていた時と同じようなやり方では失敗に繋がります。どちらに取っても初めて経験する話し合いだという事を忘れずに。
急いではいけない
綿密な計画を元にスケジュール通り実行したとしても、必ず話し合いがスムーズにいくとは限りません。
その日で結論を出そうと急がず、必要であれば別居して距離を置くのも良いと思います。特に子供がいる家庭では、争う両親の姿を子供に見せるのはなるべく避けたいです。
時間と距離を置いて、自分の意見を整理しながら、どうすれば相手の合意が得られるかを考えましょう。
別居する時の注意
別居するためには正当な理由が必要になります。何も言わずに家を飛び出してしまうと、もし裁判離婚にまで発展した時に、相手から同居義務違反の主張がされてしまう可能性があります。
「このままだと余計にお互いを傷つけてしまうので距離を置きたい」など、相手の同意を得たうえで、別居をするしか方法がないという理由を文書に残しておくと良いです。
ただし、相手からの暴力やDVによる別居であれば不利な状況になることはありません。