離婚に対する意識の変化
少し前までは離婚というと特別な儀式のように感じていましたが、最近では多くの人にとって身近な問題として捉えられるようになりました。1975年は12万件だった離婚件数もここ数年はその2倍にあたる25万件台まで増加しています。
離婚件数だけで見ても、夫婦の約3組に1組が離婚していることになります。別居など事実上の離婚状態の家庭も含めるとさらに増えるでしょう。
その背景には離婚に対する意識の変化が関係しています。離婚を前向きな姿勢で考えて、家族の問題を解決するための選択肢のひとつとして選ぶようになったからです。昔は世間体を考えて離婚をしてはいけないという風潮みたいなものがありましたが、現代では離婚をすると聞いても驚きはすれど引き留める人は少ないでしょう。
結婚経験のある人だけではなく、未婚の人達の離婚に対する意識も変化しているといえます。
離婚原因の1位は「性格の不一致」
離婚に対する意識は変わっていますが、離婚の原因は今も昔も変わらず「性格の不一致」です。協議離婚では離婚理由の申し出は必要ないため統計データとして含まれていませんが、離婚調停では申し立ての理由が必要なため、一般的な離婚理由の傾向が見えてきます。
もちろん「性格の不一致」だけが原因となることは少ないでしょう。それがもとで浮気をする、趣味やギャンブルに浪費して夫婦関係をそんざいにする、些細なことから喧嘩に発展するなど、根本的な原因になっていると考えられます。
最近ではモラハラという言葉も流行っています。これはモラルハラスメントの略称で、物理的な暴力ではなく言葉や態度で相手を傷つける精神的な暴力を指しています。これを理由に離婚を求めるケースが増加しています。
増える若年離婚と熟年離婚
結婚してから5年未満の夫婦や、35年以上の夫婦生活を経てから離婚するケースが増えているのも最近の傾向です。特に熟年者の離婚は1985年は1108件だったのに対して、2010年では6194件に増えています。僅か35年のあいだに約6倍にまで増加しています。
若年離婚が増えている理由
経済的な理由から子供を持たない家庭も増えています。子供の存在は離婚を考えなおす大きな役割を担う存在です。子供がいなければ離婚の決断も比較的容易に行えるっでしょう。
それに加えて出会いの場が増えていることも一因となっていると考えます。飲み会や合コンは以前からありましたが、出会い系サイトやSNSなどは周りの目を盗んで手軽に相手を見つけることができます。人は誰かに見られていると理性で欲求を抑えますが、誰にも見られていないとなるとついつい目先の欲を心を奪われてしまいがちです。
また「自分を大切にする」という思想が飛び抜けて強いのもこの年代です。一度きりの人生なんだから自分の好きなように楽しもう、その考えはたしかに間違っていません。しかし自分の価値観だけを極端に追及するのは周囲に迷惑をかけてしまうことになりかねません。悪い考えではないにしろ、最悪の場合は家庭崩壊すら招く危険な一面も含んでいるのです。
熟年離婚が増えている理由
この年齢層の夫婦の場合、横暴な夫に我慢に我慢を重ねて耐え続けてきた妻が、夫の定年退職など何らかのキッカケで一気に爆発する傾向があります。
改正年金分割法の施行も大きく関わっていると考えられます。子供が成人して離れていき、金銭的な補助制度があるなら、残りの人生を自由に生きようと考えている人が増えているようです。しかし、実際に離婚したあとの生活や一人で余生を過ごすことについて深く考えていない人も多く不安な面も残ります。
最近の傾向に多い逆DV
離婚理由として夫が妻に対して暴力を振るうDVがありますが、最近では妻が夫へ暴力を振るう逆DVが増えてきています。その一因として優しい男性が増えてきたことが挙げられます。優しいので女性から何をされても絶対にやり返さず、責めることもできないので逃げるしかできません。小さい頃から「女性に暴力をふるってはいけない」と言い聞かせて育ててきた教育が実を結んだのでしょう。
一方、女性のほうはキツイ性格の人が増えています。「女性差別をしてはいけない」という理念が社会に浸透したあまり、職場でもてはやされ、実力以上に認められる機会が増えたことでプライドの高い女性に憧れる人が増えたのでしょう。
いきすぎた男女平等意識によって男性よりも女性のほうが強い社会に変わったことが伺えます。個人的な意見を押し付けることはできませんが、男性は父親であり、女性は母親です。どんなに文化が変わろうとこの事実だけは変わらないことを忘れないでください。